答は相手がもっている - 1年生福祉実践教室 - 11月11日

  11月11日(水)に、田原市社会福祉協議会並びにあつみの郷介護老人保健施設、社会福祉法人福寿園から講師をお招きし、1年生が福祉実践教室を行いました。1年生は、「僕らは社会の助け人」をテーマに掲げ、総合的な学習の時間に福祉について学んでおり、この福祉実践教室もその一環となります。11月11日は、「いい日、いい日」の語呂合わせで、厚生労働省が定めた「介護の日」となっており、福祉について学ぶには、まさに絶好の日でした。

 生徒達は、武道場や1年C組教室など3つの会場に分かれ、車いす体験、認知症、視覚障害者ガイドヘルプについて、それぞれの講師からお話を聴いたり、実際に介護の体験をしたりしました。

 車いす体験講座では、講師の先生から、車いすに乗っている人の手が車いすから外に出ていないかや、足がプレートから外れていないかなど、まず、安全に関する注意を聴きました。次に、講師の先生は、車いすを止めて乗っている人の話を聴いたり、話しかけたりする時には、車いすの横に出てしゃがみ、目線を合わせることが必要だと話されました。そして、「安全と安心は違うものである。安全を確保することは絶対に必要だが、車いすに乗っている人に安心してもらえるよう心づかいをすることも、それと同じくらい大切だ。」と言われました。講師の先生のお話を聴いた後、生徒達は2人1組になって実際に車いす体験をしました。普通に平地を進む場合はもちろん、下り坂を降りるために後ろ向きで進む場合や段差や悪路を想定して前輪を上げて進む場合など、生徒達は道路の状況に応じた様々な車いす体験をしました。車いすを押す生徒達に、講師の先生は、「車いすを押す時には自分勝手に考えず、乗っている人にどうすればいいのか勇気を出して聴くことが必要だ。答は相手がもっている。」と言葉をかけていました。最後に、講師の先生は、「『よいしょ』などのかけ声や、『はぁ』などのため息は車いすに乗っている人を傷つける。これらは絶対に言ってはいけない言葉だ。そして、今日の体験を終えたみんなには、車いすに乗っている人を見かけたら、『何かお手伝いできることはありませんか。』とぜひ声をかけてもらいたい。」と話して講座をまとめられました。

 認知症講座では、講師の先生から、認知症になる原因と症状について教えてもらいました。講師の先生は、「認知症は、アルツハイマーや脳梗塞、脳出血などにより、脳がうまく働かなくなることで起こる。誰でも認知症になる可能性があり、決して人ごとではない。また、認知症の症状に最初に気づくのは本人で、自分のことを心配し、一番苦しみ、悲しむのも本人だ。」と話されました。次に、認知症の人と接する時の心構えについて、講師の先生は、まず見守ること、あせらずゆとりをもって対応すること、相手に目線を合わせて穏やかな優しい口調で話しかけること、相手の言葉にしっかり耳を傾けることなどを挙げられました。最後に、講師の先生は、「一声かける人が増えれば、また、周りの人のサポートがあれば、認知症の人でもできることはたくさんある。今、認知症について学び、認知症の人に優しい心づかいができるようになれば、それは将来、みんなが高齢者になった時、きっと同じ心づかいとして返ってくる。そんな優しい街づくりをしてもらいたい。」と話して講座をまとめられました。

 視覚障害者ガイドヘルプ講座では、目の見えない人がどんな生活をしているのか想像することから学習が始まりました。30秒間目を閉じた生徒達からは、「暗くて、周りで何が起こっているのか分からず不安だった。」とか、「音がよく聞こえる分、周りが気になった。」などの感想が出されました。次に、生徒達は、弱視メガネをかけて周りを見る体験をしました。体験をした生徒達からは、「見たいものが簡単に見つからなかった。」とか、「視野が狭くて、近くにあるものも見にくかった。」、「距離感がつかめなかった。」などの感想が出されました。それから、生徒達は2人1組で、1人はアイマスクをつけて視覚障害者役に、もう1人はそのガイドヘルプ役に分かれました。体験を始めるにあたって講師の先生から、「ガイドヘルプは半歩前を歩くこと。動き出す時には、声をかけること。そして、段差や階段がある所では、その前で立ち止まり、その状況を説明すること。」などの注意が出されました。その後、生徒達は2人1組で体験を始めました。体験した生徒達からは、「声が聞こえていても、周りが分からなくて不安だった。」とか、「床の感じが変わるだけで心配になった。」、「どこに壁があるのか分からなくて、ひやっとした。」などの感想が出されました。最後に、講師の先生は、「目が見えない人の不安を少しでも和らげるよう、常に声かけをするよう心がけてほしい。」と話して講座をまとめられました。

 この日、生徒達は、約2時間半をかけて3つの講座を体験しました。どの講座でも一生懸命学ぶ生徒達の姿が見られ、本当によかったと思っています。12月2日(水)には、今まで福祉について学んできたことの集大成となる福祉施設に出向いての福祉体験学習が控えています。生徒達が学習の成果を十分に発揮できるよう期待したいと思います。

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 【 開講式 】                        【 車いす体験講座① 】

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 【 車いす体験講座② 】                 【 車いす体験講座③ 】

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 【 車いす体験講座④ 】                 【 認知症講座① 】

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 【 認知症講座② 】                    【 視覚障害者ガイドヘルプ講座① 】

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 【 視覚障害者ガイドヘルプ講座② 】          【 視覚障害者ガイドヘルプ講座③ 】